2005年 11月 22日
海外赴任する商社マンのカテゴリ |
案外判りづらい商社の海外駐在員の仕組み。誰も興味ないかもしれないが、万一、就職活動やら転職やらをもくろんでいる人が読んでいたら、参考にしてください。
海外赴任と一口に言っても、実は、色んな制度があるんです。大きく言えば、次の二つ。
1. 海外駐在員
2. トレーニー(研修生)
で、若年層での海外赴任の多くは、2のトレーニーというステイタスでの赴任になるわけです。海外駐在員との違いは、あてがわれる住居や福利厚生もそうですが、何しろ年数が1年半から2年という短期間となること。読んで字のごとく、彼らは研修生であって、本当の意味でビジネスに於けるPerformanceは、求められていません(採算責任は負わされない)。
トレーニーの目的は、将来の海外駐在員候補としてのトレーニングに他ならないわけです。日本を出て海外に住む、ということに慣れさせる。語学は勿論、あらゆるものを身に着けることで、海外駐在員として派遣された時点では、即戦力となるように訓練されるわけです。派遣されるのは、大体入社2、3年目~7年目ぐらいの人間です。
トレーニーは、別名”奴隷ニー”とも呼ばれます。仕事に於けるPerformanceが期待されない一方で、出張者のケアに始まり、After 5のCareは、多くの場合、彼らの仕事となります。駐在員からすれば、彼らは非常に使い勝手が良い。
ちなみに、トレーニーというステイタスにもいくつかあります。
(1) 語学研修生
(2) トレーニー
(3) 事業会社トレーニー
いまや、同期の20人に近い人数が、中国に語学研修生として派遣されているのではないでしょうか。兎に角、大量に中国には送り込まれています、語学研修生として。
トレーニーというのは、海外の支店に送り込まれる一般的な研修生のこと。
他方、事業会社トレーニーというのは、海外の事業会社に直接出向することです。大きな組織に身をおいていると、とても想像できない色々なことが、出向先の事業会社にはあります。これを身をもって学ばせる機会となります。よりLocalizeしなければならないですし、勿論、組織が小さくなる分、任される責任の範囲も非常に広範囲に亘ることになります。若くして経営層にタッチできる貴重な経験にもなります。
これが、ひとたび、海外駐在員というステイタスでの赴任となると、話は、全く異なります。つまり、海外駐在員は、採算責任を持たされます。異国の地に出て、多くの場合、一人の人間が多くのエリアをカバーすることになりますので、そのストレスは、極めて高いと言えます。勿論、生活は、日本の満員電車に揺られるのに比し、恵まれているケースが多いかもしれません。
海外駐在員のステイタスにも、勿論、トレーニー同様、多くの場合は海外の支店に出ますが、事業会社に直接出て行くこともあります。既に海外駐在員ですから、トレーニーと異なり、多くの場合が、Directorとして派遣されることになります。責任は、モロに降りかかります。勿論、事業会社のステイタスによって、その性質は大きく異なります。支店乃至東京の本社とのやり取りがメインとなる100%会社もあれば、Minorityの会社に出向になる場合もあります。50/50の合弁会社に出ることもあります。 各事業会社の性質によって、負荷は、まさに千差万別でしょう。
で、私の場合は、というと、最悪のケースともいえる、50/50の合弁会社への海外駐在員としての派遣となっています。同期で同じタイミングで、同様のポジションで出た人間が何人か居ますが、海外駐在員のステイタスで派遣される中では、比較的早いほうでしょう。この時期に派遣される組は、トレーニーというステイタスをそもそも経ずに、いきなり送り込まれる組。つまり、ほったらかして育てる組、とも言えます。従って、自分も含め、アホ同期は、皆一応に、大層な肩書きと共に送り込まれる訳です。DirectorやらManaging Directorやら。 ほんとかよってなぐらい。でも、確かに、その分、東京に居たときとは比べ物にならないほどの負荷を与えられるわけです。
ところで、良くある話ですが、結婚しないと海外赴任できないか、という点ですが、出来ない、ということは勿論ありません。まして、トレーニーというステイタスの場合、多くの場合が独身者が送り込まれます(世代が若いことも、勿論、理由の一つ)。 ただ、周りを見ていても海外駐在員として送り込まれるほとんどが妻子持ちであることは事実です。
但し、理由は、結構逆説的だったりもします。つまり、海外駐在に行くから、長い春に終止符を打つ、とか、そんな感じ。 僕が、上司から言われた、極めて切実な、しかも納得感の高い説明は、妻子持ちで無いと、危なっかしくてかなわない、というもの。危なっかしいというのは、女性問題です。 特に、事業会社に出る場合、自らが金庫番を勤めることも多く、その場合、女性やらギャンブルが絡むと、会社の金に手をつける、ということが、少なからずおきます。誰も身寄りの無い海外に独りで行けば、公私を訳隔てて物事を考えることが、難しくなることがあります。まして、誰も見ていません。そんな誘惑に打ち勝つためには、守るべきものがある、といった、牽制機能が必要な訳です。 従って、確かに、そういう意味では結婚していたほうが、責任あるポジションを任せやすい、ということはあるかもしれません。
あと、大体、結婚が早い奴ってのは、独立心が強くって、海外行っても独りで何とかやっていけるだろう、見たいなタイプが多い、っていう、相関性もあるのかもしれません。
というわけで、商社の海外赴任と一口に言っても色々なわけで、夫々のStatus次第で、海外駐在生活は、全く異なるものとなっているわけです。
万一、就職・転職を考えていて、海外へ行くことが商社への就職希望だとすれば、よーく会社のファイルを見てみることです。自分が行きたい国に、何人ぐらい赴任しているか、多くの会社案内乃至IRには、何らかの数字があるはずです。ある会社はヨーロッパに強いが、ある会社は南米に強いかもしれません。 そもそも、その地域への派遣者なんて居ないかもしれません。 人生を大きく左右するFactsですので、どの商社も同じって思われるかもしれませんが、そういう観点から、違いを見出すことは、大いに可能ではあります。
海外赴任と一口に言っても、実は、色んな制度があるんです。大きく言えば、次の二つ。
1. 海外駐在員
2. トレーニー(研修生)
で、若年層での海外赴任の多くは、2のトレーニーというステイタスでの赴任になるわけです。海外駐在員との違いは、あてがわれる住居や福利厚生もそうですが、何しろ年数が1年半から2年という短期間となること。読んで字のごとく、彼らは研修生であって、本当の意味でビジネスに於けるPerformanceは、求められていません(採算責任は負わされない)。
トレーニーの目的は、将来の海外駐在員候補としてのトレーニングに他ならないわけです。日本を出て海外に住む、ということに慣れさせる。語学は勿論、あらゆるものを身に着けることで、海外駐在員として派遣された時点では、即戦力となるように訓練されるわけです。派遣されるのは、大体入社2、3年目~7年目ぐらいの人間です。
トレーニーは、別名”奴隷ニー”とも呼ばれます。仕事に於けるPerformanceが期待されない一方で、出張者のケアに始まり、After 5のCareは、多くの場合、彼らの仕事となります。駐在員からすれば、彼らは非常に使い勝手が良い。
ちなみに、トレーニーというステイタスにもいくつかあります。
(1) 語学研修生
(2) トレーニー
(3) 事業会社トレーニー
いまや、同期の20人に近い人数が、中国に語学研修生として派遣されているのではないでしょうか。兎に角、大量に中国には送り込まれています、語学研修生として。
トレーニーというのは、海外の支店に送り込まれる一般的な研修生のこと。
他方、事業会社トレーニーというのは、海外の事業会社に直接出向することです。大きな組織に身をおいていると、とても想像できない色々なことが、出向先の事業会社にはあります。これを身をもって学ばせる機会となります。よりLocalizeしなければならないですし、勿論、組織が小さくなる分、任される責任の範囲も非常に広範囲に亘ることになります。若くして経営層にタッチできる貴重な経験にもなります。
これが、ひとたび、海外駐在員というステイタスでの赴任となると、話は、全く異なります。つまり、海外駐在員は、採算責任を持たされます。異国の地に出て、多くの場合、一人の人間が多くのエリアをカバーすることになりますので、そのストレスは、極めて高いと言えます。勿論、生活は、日本の満員電車に揺られるのに比し、恵まれているケースが多いかもしれません。
海外駐在員のステイタスにも、勿論、トレーニー同様、多くの場合は海外の支店に出ますが、事業会社に直接出て行くこともあります。既に海外駐在員ですから、トレーニーと異なり、多くの場合が、Directorとして派遣されることになります。責任は、モロに降りかかります。勿論、事業会社のステイタスによって、その性質は大きく異なります。支店乃至東京の本社とのやり取りがメインとなる100%会社もあれば、Minorityの会社に出向になる場合もあります。50/50の合弁会社に出ることもあります。 各事業会社の性質によって、負荷は、まさに千差万別でしょう。
で、私の場合は、というと、最悪のケースともいえる、50/50の合弁会社への海外駐在員としての派遣となっています。同期で同じタイミングで、同様のポジションで出た人間が何人か居ますが、海外駐在員のステイタスで派遣される中では、比較的早いほうでしょう。この時期に派遣される組は、トレーニーというステイタスをそもそも経ずに、いきなり送り込まれる組。つまり、ほったらかして育てる組、とも言えます。従って、自分も含め、アホ同期は、皆一応に、大層な肩書きと共に送り込まれる訳です。DirectorやらManaging Directorやら。 ほんとかよってなぐらい。でも、確かに、その分、東京に居たときとは比べ物にならないほどの負荷を与えられるわけです。
ところで、良くある話ですが、結婚しないと海外赴任できないか、という点ですが、出来ない、ということは勿論ありません。まして、トレーニーというステイタスの場合、多くの場合が独身者が送り込まれます(世代が若いことも、勿論、理由の一つ)。 ただ、周りを見ていても海外駐在員として送り込まれるほとんどが妻子持ちであることは事実です。
但し、理由は、結構逆説的だったりもします。つまり、海外駐在に行くから、長い春に終止符を打つ、とか、そんな感じ。 僕が、上司から言われた、極めて切実な、しかも納得感の高い説明は、妻子持ちで無いと、危なっかしくてかなわない、というもの。危なっかしいというのは、女性問題です。 特に、事業会社に出る場合、自らが金庫番を勤めることも多く、その場合、女性やらギャンブルが絡むと、会社の金に手をつける、ということが、少なからずおきます。誰も身寄りの無い海外に独りで行けば、公私を訳隔てて物事を考えることが、難しくなることがあります。まして、誰も見ていません。そんな誘惑に打ち勝つためには、守るべきものがある、といった、牽制機能が必要な訳です。 従って、確かに、そういう意味では結婚していたほうが、責任あるポジションを任せやすい、ということはあるかもしれません。
あと、大体、結婚が早い奴ってのは、独立心が強くって、海外行っても独りで何とかやっていけるだろう、見たいなタイプが多い、っていう、相関性もあるのかもしれません。
というわけで、商社の海外赴任と一口に言っても色々なわけで、夫々のStatus次第で、海外駐在生活は、全く異なるものとなっているわけです。
万一、就職・転職を考えていて、海外へ行くことが商社への就職希望だとすれば、よーく会社のファイルを見てみることです。自分が行きたい国に、何人ぐらい赴任しているか、多くの会社案内乃至IRには、何らかの数字があるはずです。ある会社はヨーロッパに強いが、ある会社は南米に強いかもしれません。 そもそも、その地域への派遣者なんて居ないかもしれません。 人生を大きく左右するFactsですので、どの商社も同じって思われるかもしれませんが、そういう観点から、違いを見出すことは、大いに可能ではあります。
by Tomoya_Yasuda
| 2005-11-22 20:00
| 商社とは