2006年 11月 28日
成長市場に身を置くということ |
『息子には、英語と日本語だけではなくて、マンダリンも学んで欲しいと思っている。』
最近、ほぼ毎週末を共にしているパパ友(アメリカ人)から、土曜日の晩飯を食べている時にそんな発言があった。ビジネスマンとしては、至極当たり前に『そうだろうな。』とすっと腹に落ちた一方で、一父親としては、金を稼ぐことに対するガッツが違うな、ということを改めて感じた。僕は、娘にマンダリンを学ばせたいと、そこまで強く思わない。例えそこに限りないopportunityがあったとしても。
常々感じてきたことだが、自分自身のビジネスに対する貪欲さの欠如を感じた。バナナのボスも、同じような主旨のことをいつも言っている。growthの無い市場で仕事して、何が面白いのか?例えそこにどんなハードシップがあったとしても、と。
実は、その日の夕方から夕食にかけて、同ファミリーのご好意で盛大な送別会を開いて頂いた。僕が知らぬ間に香港にこれほどのネットワークを築いていた我が家の女性陣に、まず驚かされた。40人は軽く超える人達が、友人のマンションに併設された大きな共同スペースに集まって頂いた。ケータリングを含め、それはそれは盛大で、またしても完全に分不相応状態。。
その場で、僕が知っている数少ないパパ友(日本人)との香港生活の会話は、こんな感じだった。
『香港は、2,3年で十分かな。やっぱり、病院とかが信用できないし。』
一人の方は、お子さんの病気が香港では特に問題ないと診断されたものが、日本での再検査では、結構厄介な病気であったことが判明したり、と、個人的な経験をもとにした結論だった。こんな声は、そこかしこで聞かれる。やはり信頼性と住みやすさの観点。一方で、多くの方が香港を含め複数の海外経験をお持ちなので、同様に、
『でも、むしろ日本が異常なんだろうね。それに慣れてしまったけど。』
という点でも合意している。つまり、日本でスポイルされてしまっていることを理解した上で、それでも親心としては子供を斯様な環境に晒すことには大いに抵抗があり、出来るならば早く脱出させてあげたいと思っているわけだ。この議論は、日本人パパ達の議論。
最初に戻る。その発言をした親しい友人パパは、アメリカ人。仕事だったら僕はコンタクトすら取れないであろう程、お偉い方だ。誰でも知る、世界をリードする企業で、アジアパシフィック全域をカバーするTOPに居る(その前は日本法人社長)。企業自身がケースに扱われることも多く、自身が卒業したビジネススクールの教授陣を含め取材も多い。真のシニアレベルのビジネスパーソンだ。
そんな類の人間が発する言葉なので、僕にはとても重く響く。彼の思考回路、優先順位を目の当たりにすると、それが自分のそれと大いに異なることが判る。仕事の優先順位が極めて高く、ビジネスオポチュニティーを目の辺りにして、如何にそこに入り込むかという意識がまるで違う。僕だったら、そうは言っても、あの国で仕事するのは嫌なことが多すぎる、とか、わざわざそんな苦労する道を選ばなくてもアメリカだってヨーロッパだってある、とか思ってしまう。
彼は違う。
『今は、全てことが起きてるのは中国なんだよ。そこでの唯一の障害は言葉。だから息子には、それを取り除いてあげたい。』
息子は、日本人とアメリカ人のハーフなので、両言語は問題がない。それにマンダリンを加えたいというのだ。そうすることで、彼の将来の可能性が格段に開けるから。
正直に言うと、僕は、自分自身すら、あの国に身を捧げて仕事をしたいと思わないで来た。そこにどれほど大きなopportunityがあるといわれてもだ。その意味に於いては、真のビジネスパーソンにはなりきれていないのだと思う。先の病院にしてもそうだが、生活の質が、個人的な嗜好に合わな過ぎるというのが理由だ。生活の質が、僕の場合は、ビジネスに優先する。そう思ってきた。実際、所属する会社の多くの人間が近しい感覚を持っている。あの国への駐在となると、もろ手を挙げて喜べない。その感覚が、既に180度違っている。
彼らは、中国で仕事が出来ることを大いなる喜びを持って取り組んでいる。一方、日本企業を代表するような商社の人間でさえ、若干の抵抗を感じつつ、おっかなびっくり取り組んでいる。自ずと結果は、違ってくるに違いない。
彼は、米国本社から既に戻って来いと言われ続けているが、これを拒んでいる。その理由がそれを端的に表している。
『カリフォルニアは確かに良いところだ。だけどあそこにはHead quarterはあるが、ビジネスは無い。全ては、今、ここで起きてるんだ。離れる理由が無い。』
成長市場に身を置くこと、ビジネスパーソンとしての鉄則だが、そのことを愚直に追い求めることの出来る精神的タフネスの差を大いに感じる会話だった。
最近、ほぼ毎週末を共にしているパパ友(アメリカ人)から、土曜日の晩飯を食べている時にそんな発言があった。ビジネスマンとしては、至極当たり前に『そうだろうな。』とすっと腹に落ちた一方で、一父親としては、金を稼ぐことに対するガッツが違うな、ということを改めて感じた。僕は、娘にマンダリンを学ばせたいと、そこまで強く思わない。例えそこに限りないopportunityがあったとしても。
常々感じてきたことだが、自分自身のビジネスに対する貪欲さの欠如を感じた。バナナのボスも、同じような主旨のことをいつも言っている。growthの無い市場で仕事して、何が面白いのか?例えそこにどんなハードシップがあったとしても、と。
実は、その日の夕方から夕食にかけて、同ファミリーのご好意で盛大な送別会を開いて頂いた。僕が知らぬ間に香港にこれほどのネットワークを築いていた我が家の女性陣に、まず驚かされた。40人は軽く超える人達が、友人のマンションに併設された大きな共同スペースに集まって頂いた。ケータリングを含め、それはそれは盛大で、またしても完全に分不相応状態。。
その場で、僕が知っている数少ないパパ友(日本人)との香港生活の会話は、こんな感じだった。
『香港は、2,3年で十分かな。やっぱり、病院とかが信用できないし。』
一人の方は、お子さんの病気が香港では特に問題ないと診断されたものが、日本での再検査では、結構厄介な病気であったことが判明したり、と、個人的な経験をもとにした結論だった。こんな声は、そこかしこで聞かれる。やはり信頼性と住みやすさの観点。一方で、多くの方が香港を含め複数の海外経験をお持ちなので、同様に、
『でも、むしろ日本が異常なんだろうね。それに慣れてしまったけど。』
という点でも合意している。つまり、日本でスポイルされてしまっていることを理解した上で、それでも親心としては子供を斯様な環境に晒すことには大いに抵抗があり、出来るならば早く脱出させてあげたいと思っているわけだ。この議論は、日本人パパ達の議論。
最初に戻る。その発言をした親しい友人パパは、アメリカ人。仕事だったら僕はコンタクトすら取れないであろう程、お偉い方だ。誰でも知る、世界をリードする企業で、アジアパシフィック全域をカバーするTOPに居る(その前は日本法人社長)。企業自身がケースに扱われることも多く、自身が卒業したビジネススクールの教授陣を含め取材も多い。真のシニアレベルのビジネスパーソンだ。
そんな類の人間が発する言葉なので、僕にはとても重く響く。彼の思考回路、優先順位を目の当たりにすると、それが自分のそれと大いに異なることが判る。仕事の優先順位が極めて高く、ビジネスオポチュニティーを目の辺りにして、如何にそこに入り込むかという意識がまるで違う。僕だったら、そうは言っても、あの国で仕事するのは嫌なことが多すぎる、とか、わざわざそんな苦労する道を選ばなくてもアメリカだってヨーロッパだってある、とか思ってしまう。
彼は違う。
『今は、全てことが起きてるのは中国なんだよ。そこでの唯一の障害は言葉。だから息子には、それを取り除いてあげたい。』
息子は、日本人とアメリカ人のハーフなので、両言語は問題がない。それにマンダリンを加えたいというのだ。そうすることで、彼の将来の可能性が格段に開けるから。
正直に言うと、僕は、自分自身すら、あの国に身を捧げて仕事をしたいと思わないで来た。そこにどれほど大きなopportunityがあるといわれてもだ。その意味に於いては、真のビジネスパーソンにはなりきれていないのだと思う。先の病院にしてもそうだが、生活の質が、個人的な嗜好に合わな過ぎるというのが理由だ。生活の質が、僕の場合は、ビジネスに優先する。そう思ってきた。実際、所属する会社の多くの人間が近しい感覚を持っている。あの国への駐在となると、もろ手を挙げて喜べない。その感覚が、既に180度違っている。
彼らは、中国で仕事が出来ることを大いなる喜びを持って取り組んでいる。一方、日本企業を代表するような商社の人間でさえ、若干の抵抗を感じつつ、おっかなびっくり取り組んでいる。自ずと結果は、違ってくるに違いない。
彼は、米国本社から既に戻って来いと言われ続けているが、これを拒んでいる。その理由がそれを端的に表している。
『カリフォルニアは確かに良いところだ。だけどあそこにはHead quarterはあるが、ビジネスは無い。全ては、今、ここで起きてるんだ。離れる理由が無い。』
成長市場に身を置くこと、ビジネスパーソンとしての鉄則だが、そのことを愚直に追い求めることの出来る精神的タフネスの差を大いに感じる会話だった。
by Tomoya_Yasuda
| 2006-11-28 02:57
| 香港